ポリオワクチン

ポリオの予防ワクチンは、1953年にアメリカのジョナス・ソーク博士によって開発された不活化ワクチン(ソークワクチン)が最初でした。しかしソークワクチンは、接種者本人の発病は予防できるが、腸内のウィルスの増殖が押さえられないため流行を完全に断ち切ることができないという欠点をもっていました。一方1956年にアメリカのアルバート・セービン博士がOPV経口生ワクチン(生ワクチン)を開発、ソ連アメリカから生ワクチンを導入し、アメリカとの共同研究によって投与を実施していました。野外試験が積み重ねられた結果、1958年には、ソ連アメリカ、カナダで有効性が実証されていました。
(ポリオ生ワク闘争)日本では、1959年厚生省はポリオを指定伝染病としたが国産ワクチンの製造も実現が困難なままの状態であり、依然としてワクチン量は不足していた。1960年になり全国で集団発生が起り全国の届出患者数は5606名になり約300人が亡くなった。当時目黒区で小児科を開業していた久保全雄さん(のち新日本医師協会会長、故人)久保さんは、予防薬生ワクチンの見本を示して説明したので、お母さんたちは『ほしい!』と会場騒然となった。当時、ソ連にあった生ワクチンが予防・根絶に有効でしたが、国は「ソ連の生ワクチンは信用できない」と輸入を認めませんでした。「政府にこれを輸入させる運動をしよう」という講演を聞いて、お母さんたちはその場で協議会を作り署名を集め省内に押しかけ、当時の尾村偉久公衆衛生局長厚生省、牛丸義留薬務局長を探し両局長を並べて追及すると、ついに「投与します」という返事、全国からおしかけ国の決断を迫ってきたお母さんたちが政治を動かした瞬間でした。

ソ連から生ワクチンを輸入してくださいと厚生省(当時)に迫るお母さんたち。)


















ポリオ生ワク闘争から50数年経った現在、生ワクチンでの副作用でまれに手足に麻痺が出る健康障害が起きています。

                
(経口ポリオ生ワクチン)→


ポリオとは、

ウイルスが、脊髄の一部に入り込み初期に発熱や下痢などが起る。その後手や足が麻痺を起こし多くの場合は一生後遺症が残ります。成人が感染することもありますが、1〜2歳の子どもがかかることが多かったので、かつてはポリオのことを「脊髄性小児麻痺(略して「小児マヒ」)とも呼んでいました。
麻痺の進行をとめたり、麻痺を回復させるための治療が試みられてきましたが、現在、残念ながら特効薬などの確実な治療法はありません。

WHOによると、100万人に2〜4人の割合ででるそうです。感染すると手足に麻痺が出るポリオから子どもを守る安全なワクチンを求める強い要望が出ています。国内で使われている生ワクチンでは、まれに麻痺などの障害が起きます、一方、海外で使われているウイルスの毒性をなくした不活化ワクチン(注射)にはそのような心配はないと言われています。現在、ワクチンを輸入して希望者に打つ医師は医師自身の問題意識や親のニーズを受け急増し70施設近い医療施設で受けられるようになったそうです。ただ、不活化ワクチンは国内未承認のため自己負担、副作用が出た場合補償がありません。
現在国内の不活化ワクチンの開発が進められていて出回るまでに2年はかかる見込みと示しています。
患者団体は「一刻も早く不安解消を」と緊急輸入を求めているに対し国側は「国産の申請を待つのが一番早い」という立場。  

50数年前には「小児マヒに新薬」と言われてきた生ワクチン当時は患者の数が多大で障害に関しての報道は余りされていませんでした。今現在も年に数人のポリオ患者が出ています。これ以上の感染者を増やさないためにも生ワクチンから不活化ワクチンの早期の切り替えへ・・・。


「昭和50年から52年のあいだに生まれた方は、ポリオの免疫が他の年齢層に比べ低いとされており、ポリオウイルス常在国に渡航する場合やお子さんがポリオ接種を受ける場合には追加接種を」と言われているみたいです。

(ふせや)